世代を繋ぐ登山道保全活動を始動することができました

 

ご支援のお礼

 
 
今回は、ご支援を頂きありがとうございました。
高山の原生林を守る会は、吾妻連峰の高山をホームフィールドとして、吾妻連峰をはじめとする奥羽山脈の豊かな自然林での観察会を柱とした自然保護活動に取り組んできました。西大巓から西吾妻山に至るエリアは大小の湿原が点在していますが、百名山の1峰を擁するこのエリアの湿原は登山者による踏み付けにより、植生破壊は深刻な状況にあります。加えて、西大巓直下の山側では斜面崩壊が進行しています。そこで登山者の登山道外への立ち入りを防止するため、2000年から誘導ロープ設置作業に取り組んできました。
作業エリアは広く、近年、会員の高齢化により参加者の確保が困難になってきたことから、2020年からはボランティアの一般公募に切り替え、全国の登山者に資材購入資金の支援をお願いすることにしました。2022年は新たに西大巓から鞍部に至る崩壊地帯に誘導ロープを設置しました。このエリアは当会会員のみでは資材面や時間的余裕がなく、懸案になっていたエリアでした。お陰様で、資材の調達もでき、参加者も健脚ぞろいで崩壊地帯に誘導ロープを設置することができました。
厚さ1.5 cmの泥炭は100年近い年数を重ねています。一旦、破壊された山岳の植生を回復するためには保全作業を長期間継続することが必要となります。「世代を繋ぐ登山道保全活動」が本プロジェクトの「かなめ」になります。
今後もボランティアの一般公募による登山道保全作業を継続していきます。皆様のボランティアへの参加を歓迎いたします。引き続き、ご協力を頂きますようよろしくお願いします。 ≫ 高山の原生林を守る会:公式アカウント
※活動内容の情報発信や、ボランティア募集は公式アカウントを通じて行う予定です。
以下に本年の誘導ロープ設置作業についてご報告させていただきます。
 

2022年6月14日(火):西大巓―鞍部

 
崩壊が進む西大巓斜面の様子。
崩壊が進む西大巓斜面の様子。
13 名の参加がありました。トレイルラン愛好者、山岳ガイド、グランデコスキー場、東北地方環境事務所、裏磐梯自然保護官事務所の職員が一堂に会しての作業となりました。また、遠く山形県飯豊町から参加していただいた方もいました。
今回は、新たに西大巓から鞍部に至る崩壊地帯に誘導ロープを設置しました。このエリアは当会会員のみでは資材面や時間的余裕がなく、懸案になっていたエリアでした。今回は資材の調達もでき、参加者も健脚ぞろいで崩壊地帯の3か所にわたって誘導ロープを設置することができました。しかし、今年はこの10 年間で一番の残雪量で樹林帯側の一部は設置ができませんでした。
 
崩壊斜面に誘導ロープを設置する、ボランティア参加者。
崩壊斜面に誘導ロープを設置する、ボランティア参加者。
 
崩壊斜面に、誘導ロープの設置終了。
崩壊斜面に、誘導ロープの設置終了。
 
 

2022年6月19日(土):若女平分岐―西吾妻小屋南西部湿原

8名の参加がありました。一般参加者は3 年連続の参加となる方に加え、西郷村、仙台、米沢からの参加でした。初めて参加された方もいましたが、チームワークもうまく取れて、予定の作業を、余裕をもって終えることができました。
 
踏付けで痛んでしまった若女平分岐湿原。
踏付けで痛んでしまった若女平分岐湿原。
 
若女平分岐湿原に誘導ロープを設置。
若女平分岐湿原に誘導ロープを設置。
 
西吾妻小屋南西部湿原での作業の様子。
西吾妻小屋南西部湿原での作業の様子。
 
踏付けで痛んでしまった西吾妻小屋南西部湿原。
踏付けで痛んでしまった西吾妻小屋南西部湿原。
 

2022年の今後の予定

9月頃に専門家による西大巓斜面崩壊地帯の現地調査を実施し、今後の保全方法を検討します。10月に誘導ロープの取り下げ作業を実施します。

ボランティア資金支援のお願い

今後の本格的な植生回復、保全作業に向けて、多くのボランティアを確保する必要があります。しかし、ロープウエイ・リフト代は参加者への無視できない負担となっています。西吾妻登山道保全ボランティア作業の際のロープウエイ・リフト代を支援していただける方を求めています。
皆様の継続的なご支援が必要不可欠です。西吾妻連峰を保全していくために、世代を繋ぐ登山道保全活動を引き続き応援くださいますようお願いいたします。