龍の道再生プロジェクトをご支援頂きありがとうございました

 

ご支援のお礼

 
この度は、DOMO支援プロジェクトにより、三重県鈴鹿山脈竜ヶ岳・龍の道再生プロジェクトにご支援いただき誠にありがとうございます。
おかげさまで沢山の方々の手厚いご支援により、予定しておりました遠足尾根登山道の再生は順調に進んでおります。
鈴鹿山脈の竜ヶ岳は三重県の北部に位置し、麓には高速道路が開通し、鈴鹿山脈の県境を貫く石榑トンネルもあり、沢山の方が四季を問わず登山して頂けるアクセスのよい山域に有ります。
私たち竜ヶ岳登山道整備の会は石榑トンネルが開通した2011年の同時期に発足し、当初は2名で始めた安全登山目線での登山道整備でしたが、2017年に継続的に活動を行って来たことを評価され、竜ヶ岳山域の土地所有者である森林組合様に活動の承認を頂けることが出来ました。
現在は森林組合が運営する宇賀渓観光協会の公認を頂き、安全登山の登山道整備から植生保護や竜ヶ岳山域の自然環境保全整備活動など、また森林整備や遊歩道の整備を受託し、ボランティア活動の受け入れをしています。
 
導水帯埋設工法に必要な資材を、麓の宇賀渓より運び上げます。
導水帯埋設工法に必要な資材を、麓の宇賀渓より運び上げます。
 
登山道整備に必要な資材を、ボランティアを含む歩荷さんたちによって運び上げている様子。遠足尾根中腹からは、地元の街や伊勢湾が見渡せます。
登山道整備に必要な資材を、ボランティアを含む歩荷さんたちによって運び上げている様子。遠足尾根中腹からは、地元の街や伊勢湾が見渡せます。
 
鈴鹿山脈は隆起により出来た山脈ですが、三重県側と滋賀県側とでは生い立ちや地層の形成が異なり、三重県側は急峻な岩場や積層が折れ曲がり斜めになる地層を持っています。
この地層がもたらすのは、降雨が地表を流れやすく浸透した水は地下の浅い場所を流れ落ち、早期に清水となり小川を成して竜ヶ岳の様な水の豊富な宇賀渓を形成します。
今回DOMO支援プロジェクトを頂くこととなり、鈴鹿山脈に合う形の登山道整備を行うため、今まで温めていた新しい登山道整備「導水帯埋設工法」を取り入れました。
 
導水帯埋設工法を用いた登山道整備。踏板の下を掘り、砕石を敷設して水の流れを作ります。
導水帯埋設工法を用いた登山道整備。踏板の下を掘り、砕石を敷設して水の流れを作ります。
 
アプローチ部の導水帯埋設工法が完成した状態。ステップの下には導水帯が敷設されています。
アプローチ部の導水帯埋設工法が完成した状態。ステップの下には導水帯が敷設されています。
 
導水帯埋設工法とは、表面上の登山道整備ではなく、自然が本来持っている地表の給水力や、地下に流れた水が地中に浸透する流水帯を、登山道の下に人工的に作る工法です。
導水帯埋設工法は沢山の資材と、沢山の時間や人の力が必要であり、とても大変な作業ですが、一度完成すると大雨による土壌流出や、登山者の歩行による崩壊の速度を遅くすることができます、今回DOMO支援プロジェクトを受けなければ完成し得なかった工法でした、改めてご支援頂いた方へお礼申し上げます。
 
「龍の道」上部核心部に、導水帯埋設工法を用いた整備を実施。
「龍の道」上部核心部に、導水帯埋設工法を用いた整備を実施。
 
「龍の道」上部核心部の導水帯埋設工法を用いた整備の途中経過。遥か下方から埋設に必要な砕石を運び上げ、敷設しています。
「龍の道」上部核心部の導水帯埋設工法を用いた整備の途中経過。遥か下方から埋設に必要な砕石を運び上げ、敷設しています。
 
「龍の道」上部核心部の整備進行と、笹の斜面再構築状況の様子。全体の9割は完成しており、来年の春に備えて植生保護区画を整備します。
「龍の道」上部核心部の整備進行と、笹の斜面再構築状況の様子。全体の9割は完成しており、来年の春に備えて植生保護区画を整備します。
 
この導水帯埋設工法は、降雨した水は直ぐに登山道に染み込み、登山道の下に埋設した石の間を下方へと流れて、自然浸透する効果が見込まれます、鈴鹿山脈や山が本来持っていた水の流れ、水の営みを確立できるのか、今回登山道整備として全国でも初めての工法であり、今後も研鑽を重ねて実証していきます。
現在竜ヶ岳登山道整備の会にボランティア登録された方は90名になりました。
年間50日以上の活動と延べ参加者250名近い方々が、竜ヶ岳や周辺の登山道を整備し自然環境を見守り、竜ヶ岳の自然を次世代へ繋げるため活動しています、今後も皆様のご支援を宜しくお願い致します。
 
登山道整備活動で知り会ったメンバーで、竜ヶ岳の麓宇賀渓にてシャワークライミング講習会を実施。
登山道整備活動で知り会ったメンバーで、竜ヶ岳の麓宇賀渓にてシャワークライミング講習会を実施。

今後の活動予定

 
竜ヶ岳が位置する麓の三重県いなべ市は、2020年全国に先駆けて「SDGs未来都市」を推進する自治体として選定されました。
その中で竜ヶ岳登山道整備の会は、自治体が認定するSDGs推進団体として、持続可能な開発目標を掲げ、自然環境保全を推進する団体として選定されました。
来年度に一般社団法人「竜ヶ岳自然環境保全推進協議会」を設立し、竜ヶ岳登山道整備の会・SDGs運営員会・登山ガイド組織「MSG」(マウンテンセーフティガイド)の協力を得て竜ヶ岳の登山道整備を引き継ぎます。
ご支援いただいた支援金の用途は、本来の登山道整備活動に必要な原資とさせて頂きます、具体的には「登山道整備資機材購入」「植生保護整備資機材購入」「登山道整備講習会資金」として活用致します。
 
 
登山道整備に参加したメンバーの集合写真。
登山道整備に参加したメンバーの集合写真。
 

鈴鹿山脈に登山される方へ

 
登山道は登山を趣味とする方々の歩く道として認知されていますが、低山や植林地帯などは生活道や作業道として開かれた道が、いつしか登山道として歩かれるようになりました。
道が開かれた当時は歩く方もまばらであり、多くても日に数人程度でしたが、今はアウトドアブームや新型コロナウイルス感染のリスク回避もあり、鈴鹿の山や低山に入山される方が急増しています、予約の要らないテントサイトとして鈴鹿の山にテント泊される方も近年増えました。
鈴鹿山脈に登山される方にお願いです。
登山される時は既存の登山道以外への立ち入りは極力お控えください、沢山の方々が登山道より外れて歩かれると低層植物が枯れてしまい、1日で新しい道が出来てしまいます、再生には翌年新しく根を張り芽が出るまで1年を要します。
竜ヶ岳の山頂周辺は10年前幅1mもない道でしたが、現在は最大で8mにも広がる場所が有ります、周辺の笹は枯れて土が流されたり、シロヤシオの根がむき出しになったり、立ち枯れが目立って来ました。
 
登山道の轍(わだち)が拡大し、植生の衰退が進行している竜ヶ岳の遠足尾根最上部。
登山道の轍(わだち)が拡大し、植生の衰退が進行している竜ヶ岳の遠足尾根最上部。
 
今後問題の場所は木道化や植生保護用に歩道化を進めていきますが、登山者の皆さんのご協力が必要になります、木道や歩道などが設置された場所は、指定された場所を通行してください、よろしくお願いいたします。
鈴鹿国定公園にはテント泊指定地は1か所しかありません、それ以外でのテント泊は植生に影響のない場所か、極力自然にローインパクトな手法で野営されることを望みます、沢山の方々が野営を行った場所は1年で植生が減退し、2年で土が現れ、3年で土が流れて再生が出来なくなります、節度ある野営をお願いいたします。
私たちが親しみ楽しませて頂いた鈴鹿山脈の自然と景観を、私たちの未来と次世代の登山者へ引き継ぐため、今できることを少しでも実践して行きましょう。
 
初夏の竜ヶ岳。笹の草原に点在するシロヤシオは羊の群れを連想させ、竜ヶ岳の見どころとして親しまれている。
初夏の竜ヶ岳。笹の草原に点在するシロヤシオは羊の群れを連想させ、竜ヶ岳の見どころとして親しまれている。