エゾシカから森を守る防鹿柵の修繕 & 樹種多様化の取り組み ご報告第二弾!

エゾシカから森を守る防鹿柵のメンテナンス
1.苗畑の防鹿柵を修繕しました

8月20日~21日の2日間、老朽化して柱が傾いていた苗畑の防鹿柵(ぼうろくさく)を修繕しました。しれとこ100平方メートル運動地には、増えすぎたエゾシカによる食害から苗木や森林を守るために大小20基の防鹿柵があります。このたび修繕したのは、1999年に建てられた苗畑を守るための防鹿柵です。

述べ16名のボランティアに参加していただき、新たな支柱10本とトライアングル支柱3基を設置することができました。苗畑をこれからも守り続けることができる柵へと生まれ変わりました。
ボランティアの皆さん、ご協力いただきありがとうございました!
▼YouTube しれとこ100平方メートル運動:防鹿柵補強修繕ボランティア作業の様子
2.当運動地で最大規模の防鹿柵を修繕しました

8月の1カ月間をかけて、当運動地で最大規模となる防鹿柵(面積5.3ヘクタール、総延長1,042メートル)の修繕工事が行われました。この柵は、エゾシカによる深刻な食害が発生する越冬地を広く柵で囲むことで、森林を守り育てることを目的として建てられたものです。2003年に建てられたこの柵は、いたるところで木柱が朽ちて傾いていました。そこでYAMAPのDOMO支援を活用させていただき、金属支柱を増設する工事を行いました。
工事が無事に完了し、木柱が朽ちても、しっかりと自立する防鹿柵へと生まれ変わりました。これから数十年先までシカから森を守り続けてくれることでしょう!
▼YouTube しれとこ100平方メートル運動:老朽化したシカの侵入防止柵を修繕しました!
樹種多様な森づくり
1.アカエゾマツ造林地の間伐作業を行いました
アカエゾマツ1種のみで構成されている造林地(0.4ヘクタール)を樹種多様化させるために、重機を用いた間伐作業を行いました。今回の間伐作業では、植栽されたアカエゾマツ列の間隔の違いによって、木を伐る場所を選定しました。


列の間隔が狭い場所では、あえて間伐は行わず、隣り合うアカエゾマツの枝葉が重なるように成長して、林床へ光が差し込まない環境になるまで待ちます。光環境を悪くすることで林床を埋め尽くしているササを衰退させるのが狙いです。その後、間伐して広葉樹が入る環境を整備します。


列の間隔が広い場所では、所々で数本単位のアカエゾマツを間伐し、たくさん光が差し込むギャップを作り出しました。林床のササは高密度で残りますが、そのギャップに樹高3mほどの広葉樹の中型苗を植樹する予定で、ササに負ける(埋もれる)ことなく広葉樹を育てることができ、樹種多様化が図れるという戦略です。
豊かな森へと転換させるべく、森の遷移を想像しながら木を伐る作業です。
2.間伐木から作ったウッドチップを遊歩道へ敷き詰めました

7月2~3日、「森づくりの道」公開トレイルにてウッドチップを敷く作業を行いました。
今回使ったウッドチップは、森林再生作業で発生するアカエゾマツの間伐材を砕いて作ったものです。
2日間で述べ30名のボランティアにご参加いただき、約400mの区間に敷き詰めることができました。
100平方メートル運動地では、40年ほど前に植えられたアカエゾマツ林が大きく成長し、一部では他の木が入ってこられないほどの鬱蒼とした森に変わっています。そのような森では適度な間伐を行い、光環境と空間を作り出し、広葉樹の種が運ばれてきて樹種多様な森になるよう働きかけています。樹種多様化の取り組みで発生した間伐材を有効活用しています。
足裏にやさしく、マツの香りにも癒される素敵なトレイルへと生まれ変わりました。間伐材の有効活用のみならず、下草が生えるのを抑える効果や、マダニが足元に付きにくくなる効果も期待されます。
ボランティアの皆さん、炎天下での作業、本当にお疲れ様でした。
▼YouTube しれとこ100平方メートル運動:2日間で500mのウッドチップ敷き(森づくりボランティア・初夏)
公開トークイベント「命あふれる森をつくる」|開催のお知らせ

DOMOにてご支援いただいたプロジェクトにおける、公開トークイベントを知床で開催します。
特別ゲストとして東京大学の森 章教授をお招きし、生物多様性の保全をテーマにした森づくりについてお話いただきます。知床での森林再生の取り組みについて解説いただきながら、YAMAP代表 春山慶彦を交えてセッションする座談会となります。
ご都合がよろしければ、ぜひご参加ください。
特別ゲストとして東京大学の森 章教授をお招きし、生物多様性の保全をテーマにした森づくりについてお話いただきます。知床での森林再生の取り組みについても分かりやすく解説しながら、YAMAP代表 春山慶彦氏を交えてセッションする座談会となります。
YouTubeライブ配信も行いますので、知床に来られない方もぜひご参加ください!
当日は毎年恒例の「知床森の集い(植樹祭)」ならびに「SHIRETOKO SUSTAINABLE WEEK」のイベントが同時開催されております。植樹活動や各種プログラムにもぜひご参加ください。
▼公開トークイベント「命あふれる森をつくる」| 参加申込フォーム
公開トークイベント「命あふれる森をつくる」への参加をご希望の方は、YAMAPにログインの上、以下のフォームよりお申し込みください。
※申し込み受付:10/7(金)まで
【特別ゲスト】

東京大学先端科学技術研究センター 森 章 教授
森教授は、『生物多様性の原因と結果を探る』ための基礎と応用の生態学に注視して、フィールドでの観察や操作実験、統計モデルや数理計算、さらには社会アンケートといった多様なアプローチに基づいて研究活動を展開されています。
研究から得られた知見を実社会に実装することで、気候変動をはじめとする多くの社会環境問題の解決に対して、生物多様性が持つ価値を示すことを目指されています。
しれとこ100平方メートル運動地森林再生専門委員。
公式プロフィール:http://akkym.net/profile/
【登壇者】

株式会社ヤマップ代表 春山 慶彦
1980年生まれ、福岡県春日市出身。同志社大学卒業、アラスカ大学中退。ユーラシア旅行社『風の旅人』編集部に勤務後、2010年に福岡へ帰郷。2013年にITやスマートフォンを活用して、日本の自然・風土の豊かさを再発見する”仕組み”をつくりたいと登山アプリYAMAP(ヤマップ)をリリース。アプリは、2021年11月時点で280万ダウンロードを突破。国内最大の登山・アウトドアプラットフォームとなっている。

公益財団法人 知床財団 自然復元事業係主任 草野雄二
1980年生まれ、東京都武蔵野市出身。専門学校卒業後、グラフィックデザイナーになり、主に web広告の制作を行う。その後2012年に自然環境系の業界に転職。里山保全に取り組む企業で雑木林や農地の管理業務を経験後、より広大な自然を求め2014年に知床財団入社。以来8年間、しれとこ100平方メートル運動の現地業務を担当し、開拓跡地の森林再生事業を進めている。
【開催日時】
2022年10月9日(日)14:00 〜 15:30
【開催場所】
知床自然センター内MEGAスクリーン キネトコ
【参加方法】
YouTubeライブ配信参加(無料)
現地参加の方は知床自然センターへお越しください(無料)
▼公開トークイベント「命あふれる森をつくる」| 参加申込フォーム
公開トークイベント「命あふれる森をつくる」への参加をご希望の方は、YAMAPにログインの上、以下のフォームよりお申し込みください。
※申し込み受付:10/7(金)まで
【登壇者】
・東京大学先端科学技術研究センター 森 章教授
・株式会社ヤマップ代表 春山 慶彦
・公益財団法人 知床財団 自然復元係主任 草野 雄二
・斜里町まちのクリエイティブ・ディレクター 初海 淳(司会進行)
【プログラム】
1. オープニング
2. 登壇者のご紹介
3. しれとこ100平方メートル運動の取り組みについて(知床財団 草野)
4. 生物多様性の保全を目指す森づくりについて(東京大学 森教授)
5. 知床や他地域での環境保全活動への支援について(YAMAP 春山代表)
6. トークセッション
7. 質疑応答
8. クロージング
第26回しれとこ森の集い(植樹祭)を開催します!

しれとこ森の集いは「しれとこ100平方メートル運動」の交流事業で、毎年この時期に開催されています。
今年も下記の要領で運動地に苗木を植える植樹祭を行います(参加費無料)。
皆さんのご参加をお待ちしております!
※新型コロナウイルス感染拡大状況によってはイベントを中止する可能性があります。(宿泊施設や航空券等のキャンセル料が発生しても主催者は負担できません。)
※新型コロナウイルス感染拡大地域からの参加をお断りする場合もございます。
【第26回しれとこ森の集い(第48回植樹祭) 開催要領】
〇日 時:2022年10月9日(日曜日) 9時~12時30分
〇参加費 :無料
〇持ち物 :汚れても良い靴と服装・軍手・雨具・飲み物・マスク
〇その他 :
・お弁当・お飲み物の提供はありません。
・現地集合・解散の方は、当日午前9時までに知床自然センター前にご集合ください。
・事前申し込みをせずに当日参加も可能ですが、受付で氏名・住所をご記入いただきます。
・100平方メートル運動に未参加の方の参加も可能です。
※今年もイベント「知床サステイナブルウィーク」が同時開催されています。
【参加方法】
▼第26回しれとこ森の集い(第48回植樹祭)| 参加申込フォーム
※申し込み受付:10/9(日)当日まで
しれとこ100平方メートル運動への寄付のお願い

「100平方メートル運動の森・トラスト」は知床の開拓跡地に森を育て、かつてそこにあった自然の再生を目指す運動です。この数百年先を見据えた運動を続けていくためには、皆様の継続的なご支援が必要不可欠です。知床の自然を守り、育てていくために、世代を超えて挑むこの運動を応援してくださいますようお願いいたします。