「知床の森を育てる in 北海道」プロジェクト 最終報告

YAMAPのDOMO支援を受けて、知床で森づくりをしました。北海道の東にある知床半島は「原生的な森が残されている動物の森」というイメージがありますが、実は開拓の歴史がある元・農地の土地もあります。一度人間の手で切り拓いた森ですが、いまは人間の手で育てる森になっているのです。
今回は、これまでにDOMO支援を受けて活動した内容の、最終報告をさせていただきます。

1.広葉樹を植えました

広葉樹苗を植えたボランティアの皆さん。
広葉樹苗を植えたボランティアの皆さん。
2022年5月、4日間で10種類の広葉樹を40本植樹しました。YAMAPのDOMO支援者を含む延べ56人のボランティアに参加していただきました!
森は、放置しても自然に育ちませんでした。開拓後の森は、エゾシカが増えすぎて広葉樹の樹皮が食べられてしまい、ササ原はなぜかササ原のままでした。また、開拓時代に植えられたアカエゾマツは、間引きなどの手入れがされなかったため暗い森になり、ほかの植物が入り込めない多様性の低い森になっています。
これでは原生的な知床本来の森に育ちません。知床本来の森とは、さまざまな植物が育ち、さまざまな動物のすみかやえさ場になる「針広混交林」なのです。
そこで近年は、間伐地に広葉樹の植樹を行っています。もちろん、シカに食べられないように樹皮保護ネットを巻いて大切に植えます。広葉樹の苗木は、10年以上かけて防鹿柵で守られた苗畑にて大事に育てています。
100年後にはアカエゾマツ(針葉樹)と今回植えた広葉樹が混ざり合う多様な森に育つよう願っています。
広葉樹苗に樹皮保護ネット巻き植える作業の様子。
広葉樹苗に樹皮保護ネット巻き植える作業の様子。
苗木の支柱を立てる作業の様子。
苗木の支柱を立てる作業の様子。

2.苗畑の防鹿柵を修繕しました

傾きが大きい区間は、木材を三角に組むトライアングル支柱で補修。
傾きが大きい区間は、木材を三角に組むトライアングル支柱で補修。
2022年8月の2日間、苗畑の柵(ぼうろくさく)を修繕しました。のべ16名のボランティアに参加していただき、新たな支柱10本とトライアングル支柱3基を設置することができました。わたしたちは、増えすぎたエゾシカから苗木や森を守るための柵を防鹿柵と呼んでいます。
この柵の柱が老朽化のため傾いており、修繕の必要がありました。なにせ柵の一部でも倒れてしまうと、何十年もかけて育てた苗木が食べられてしまうのです。
しかし、寄付金でまかなうこの活動には財源不足でした。
ところが、このたびYAMAP DOMO支援を受け、修繕することができました!苗畑をこれからも守り続けることができる柵へと生まれ変わったのです。
経費を節約するため、ボランティアさんとの協力作業となりました。よく晴れた暑い日となりましたが、ボランティアの皆さん、ご協力いただきありがとうございました!
苗畑防鹿柵を修繕したボランティアの皆さん。
苗畑防鹿柵を修繕したボランティアの皆さん。
傾いた支柱の間に新たな支柱を立てる作業の様子。
傾いた支柱の間に新たな支柱を立てる作業の様子。
苗畑内には1000本近い広葉樹が育てられています。
苗畑内には1000本近い広葉樹が育てられています。

3.当運動地で最大規模の防鹿柵を修繕しました

運動地最大の防鹿柵(黄色線、総延長1㎞)の空中写真。
運動地最大の防鹿柵(黄色線、総延長1㎞)の空中写真。
8月の1カ月間をかけて、当運動地で最大規模の防鹿柵の修繕工事を行いました。この柵は、エゾシカによる深刻な食害が発生する越冬地を広く柵で囲うことで、森林を守り育てることを目的として建てられたものです。2003年に建てられたこの柵は、いたるところで木柱が朽ちて傾いていました。そこでYAMAPのDOMO支援を活用させていただき、金属支柱を増設する工事を行いました。
工事が無事に完了し、木柱が朽ちても、しっかりと自立する防鹿柵へと生まれ変わりました。これから数十年先までシカから森を守り続けてくれることでしょう!
重機で鉄柱を入れる穴を掘る作業の様子。
重機で鉄柱を入れる穴を掘る作業の様子。
鉄柱を立ててから金網に固定する作業の様子。
鉄柱を立ててから金網に固定する作業の様子。

4.アカエゾマツ造林地の間伐作業を行いました

アカエゾマツのみの森を針広混交林へ誘導するために、間伐作業を行いました。
明るくなった場所にササが侵入し、新たな広葉樹の芽生えを阻害しないよう、また単に間引きをするだけでなく、広場をつくるように伐るエリア(ギャップ)をつくるなど、間伐方法も多様に作業しました。
間伐前のアカエゾマツ造林地。
間伐前のアカエゾマツ造林地。
間伐後のアカエゾマツ造林地。
間伐後のアカエゾマツ造林地。

5.間伐木から作ったウッドチップを遊歩道へ敷き詰めました

ウッドチップを敷設した、ボランティアの皆さん。
ウッドチップを敷設した、ボランティアの皆さん。
7月の2日間、「森づくりの道」公開トレイルにてウッドチップを敷く作業を行いました。
ウッドチップは、アカエゾマツの間伐材を機械で砕いて作ったものです。
2日間で述べ30名のボランティアにご参加いただき、約400mの区間に敷き詰めることができました。
足裏にやさしく、マツの香りにも癒される素敵なトレイルへと生まれ変わりました。間伐材の有効活用のみならず、下草が生えるのを抑える効果や、マダニが足元に付きにくくなる効果も期待されます。
ボランティアの皆さん、炎天下での作業、本当にお疲れ様でした。
ウッドチップにする前のアカエゾマツの間伐材。
ウッドチップにする前のアカエゾマツの間伐材。
間伐材を、重機を使用してウッドチップに加工する様子。
間伐材を、重機を使用してウッドチップに加工する様子。
ウッドチップを、トレイルに敷き詰める作業の様子。
ウッドチップを、トレイルに敷き詰める作業の様子。

6.DOMO講演会「しれとこ100平方メートル運動の歴史と今、これからを紐解く」をオンライン開催

DOMO講演会「しれとこ100平方メートル運動の駅氏と今これからを紐解く」の様子。
DOMO講演会「しれとこ100平方メートル運動の駅氏と今これからを紐解く」の様子。
森づくりの自然復元運動は、森づくりを地道に続けてきましたが、いまの時代に合った宣伝活動が苦手でした。新しい寄付者様との出会いの機会に課題があったのです。せっかく地球に良い活動をしていても、知ってもらえなければ広がりません。未来の森づくりのためには、将来にわたって価値を広く伝え続ける必要があります。
株式会社ヤマップ様からのご支援は、森づくりへのご寄付だけではありませんでした。2022年2月1日、オンラインで開催されたDOMO講演会で運動をご紹介する機会をいただき、アーカイブを含め2500回以上の再生回数を記録、「YAMAPの動画を見て知床の活動を知りました」と寄付やボランティアにつながりました。うれしい反響でした。

7. DOMO講演会「命あふれる森をつくる」

DOMO講演「命あふれる森をつくる」の様子。
DOMO講演「命あふれる森をつくる」の様子。
2022年10月9日、知床で行われた植樹祭の日の午後、知床自然センターKINETOKOにて、DOMO講演会「命あふれる森をつくる」が開催されました。登壇者は、斜里町まちのクリエイティブ・ディレクター 初海淳氏を司会に、公益財団法人知床財団の草野雄二主任、東京大学先端科学技術研究センターの森 章教授、株式会社ヤマップの春山慶彦代表(発表順)の3名で、知床の森づくりについて学び、生物多様性の大切さを学び、楽しんで山に恩返しするDOMOポイントについて学びました。
山を持続的に楽しむための示唆に富んだ講演会になりました。
みなさまの応援のもと、YAMAP DOMO支援により知床の森づくりが進みました! 植えた木、伐ったあとに育つ木は100年、200年と育って行きます。これからも知床の森がどうなっていくか、気にかけていただけるようお願い申し上げます。
講演会前の植樹祭でトドマツを植える、ヤマップ代表の春山さん。
講演会前の植樹祭でトドマツを植える、ヤマップ代表の春山さん。
植樹祭の集合写真。
植樹祭の集合写真。

各種SNSのアカウント紹介

森づくりはこれからも続きます。知床の森づくりの様子は各種SNSでも発信中! ぜひ知床とつながってみてください!

しれとこ100平方メートル運動への寄付のお願い

 
 
「100平方メートル運動の森・トラスト」は知床の開拓跡地に森を育て、かつてそこにあった自然の再生を目指す運動です。この数百年先を見据えた運動を続けていくためには、皆様の継続的なご支援が必要不可欠です。知床の自然を守り、育てていくために、世代を超えて挑むこの運動を応援してくださいますようお願いいたします。