豊かな森を目指した樹種多様化の取り組み ご報告第一弾!

活動のご報告・第一弾

 
植樹活動に参加したボランティアの方々と、知床財団のスタッフ。
植樹活動に参加したボランティアの方々と、知床財団のスタッフ。
 
5月14日~15日、21日~22日の計4日間で、間伐後のアカエゾマツ造林地(針葉樹林)へ広葉樹の中型苗を植樹しました。
今回の植樹作業には、YAMAPのDOMO支援者を含む延べ56人のボランティアに参加していただき、10種類の広葉樹の中型苗を計40本植えることができました!
「しれとこ100平方メートル運動」開始当初の1970年代に植えられたアカエゾマツ造林地は順調に育ち、今では薄暗い森へと遷移して、ほかの植物が入り込めない多様性の低い環境になっています。そのような造林地では重機を用いて効率的に木を間伐(間引き)して、光環境の改善を行っていますが、日光が差し込むようになっても芽吹いた広葉樹の稚樹はエゾシカによって直ぐに食べられてしまい、樹種多様化は足踏み状態になっていました。
そこで近年は、積極的に樹種多様化を進める取り組みとして、広葉樹の苗木をシカに食べられないように樹皮保護ネットで巻いて植樹を行っています。なお、植える広葉樹の苗木は樹皮保護ネットを巻くことができる大きさ(樹高3m以上)が必要で、10年以上かけて防鹿柵で守られた苗畑にて大事に育てています。
鹿の食害を防ぐため、植樹する苗にネットを巻く作業。
鹿の食害を防ぐため、植樹する苗にネットを巻く作業。
 
100年後にはアカエゾマツ(針葉樹)と今回植えた広葉樹が混ざり合う多様な森へと遷移していることを期待しつつ、今後も苗木がしっかりと育っているか見守りたいと考えています。
【植樹した樹種】
ミズナラ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、オヒョウ、ハルニレ、ヤチダモ、イヌエンジュ、エゾヤマザクラ、ナナカマド、アズキナシ
 
 
支柱を使いながら、苗木を固定しつつ植樹を行う。
支柱を使いながら、苗木を固定しつつ植樹を行う。
 
 
苗木を植えるための穴を掘る作業の様子。
苗木を植えるための穴を掘る作業の様子。
 
 

「森づくりの道」遊歩道整備について

 
ウッドチップに加工する前の、間伐作業で発生したアカエゾマツ。
ウッドチップに加工する前の、間伐作業で発生したアカエゾマツ。
 
次の取り組みとしては、6月中旬以降に運動地最大級の防鹿柵(5.3ha、総延長1㎞)の修繕を予定しています。また、7月上旬には樹種多様化の作業で発生したアカエゾマツ間伐木を有効活用して製造したウッドチップを、「森づくりの道」遊歩道へ敷き詰める作業を予定しています。
▼「森づくりの道(遊歩道)」ボランティア募集のご案内
▼「しれとこ100平方メートル運動」のYAMAP公式アカウント
 
間伐木を細かく砕いたウッドチップ。
間伐木を細かく砕いたウッドチップ。

絵本「みずならがはなしてくれたこと」ができました

 
 
このたび、知床の森を舞台にした絵本「みずならがはなしてくれたこと」が完成しました。
この絵本は、何百年も前の知床の森の姿や、かつて知床の土地を開拓し暮らしていた人々の姿、残された開拓跡地やそこに木を植える活動まで、 知床の森の歴史を1本のみずならがヒグマに話して聞かせるストーリーです。
作者は、斜里町在住のあかしのぶこさん。 この絵本の製作の話しが始まったのは2019年、そこから約2年間の製作期間を経て2022年3月末、ついに絵本が完成しました。製作中は、開拓時代を知床で過ごした方へ自ら取材に赴いたり、知床に残る原生林でモデルになる木を探しに行ったりと、 本当に精力的に製作活動に取り組んでいただきました。
巻末では、斜里町が進めている「しれとこ100平方メートル運動の森・トラスト」の活動もあかしのぶこさんの素敵なイラストで表現していただきました。
絵本を通して全国の人たちに知床の森にまつわるお話しを伝えることができたなら、私たちはとても嬉しく思います。ぜひ手に取ってご覧ください。
 
 
 

【しれとこ100平方メートル運動への寄付のお願い】

「100平方メートル運動の森・トラスト」は知床の開拓跡地に森を育て、かつてそこにあった自然の再生を目指す運動です。この数百年先を見据えた運動を続けていくためには、皆様の継続的なご支援が必要不可欠です。知床の自然を守り、育てていくために、世代を超えて挑むこの運動を応援してくださいますようお願いいたします。